RESEARCH / PROPERTIES & APPLICATIONS
05特性と用途展開

特性を組み合わせ、
用途の可能性を広げる。

母材と不連続な高アスペクト比板状粒子を組み合わせ、熱、振動、光、ガスに関わる特性を設計します。得られた材料特性をもとに用途を想定し、試作・評価で適用の可能性を確かめていきます。

研究室で確かめている特性

試験片での評価から、用途を想定した試作へ。

研究室内での実証・試作例
耐熱性基材 × 面状発熱体

薄い基材を、加熱モジュールへ

フッ素樹脂系複合材料の基材とSUS箔を熱圧着でシール。接着剤を使わずに発熱体モジュールを一体化し、試作品による加熱を確認しています。

55 × 90 mmの発熱体モジュールを試作熱圧着による接着剤レスの封止。フッ素樹脂/板状粒子 40 vol% の試作例
用途候補産業・機器の温調用ヒーター、薄型加熱部材、耐熱性基材
発熱体モジュール
55ミリメートル×90ミリメートルの発熱体モジュール。板状の複合材料に端子を取り付けた試作品
ラボで作製した発熱体モジュール
加熱試験
提供動画は10倍速。試作品による加熱の実証例
熱圧着による接着剤レスの封止
型内に耐熱性の複合基材と蛇行形状のSUS発熱箔を配置した、熱圧着前の試作工程
基材と発熱箔を配置し、熱圧着でシール
温度分布の評価

樹脂単体と複合材料の、熱の広がりを比較

耐熱性樹脂を用い、熱伝導性に異方性が生じる配合としています。板厚250 μmの基材で、加熱時の温度分布をサーモカメラにより評価しています。

樹脂単体
複合材料
動画経過 0.0 秒
4倍速で2本の動画を一緒に操作できます。

4倍速/通常速度の切替に対応。時間表示は元動画の経過時間です。各動画の先頭を基準に、共通する長さの区間を同期再生します。撮影時の温度レンジが変わるため、色だけで絶対温度を比較せず、表示温度と分布を併せて確認します。

薄型 × 火炎の遮蔽

延焼防止を目指す薄板・成形部材

熱硬化性樹脂/板状粒子の複合材料で、火炎を遮る働きを評価。加熱面と裏面の動画から、加熱中の様子を確認できます。

約0.5 mm・1分加熱で火炎の貫通なし熱硬化性樹脂/板状粒子 40 vol% の簡易バーナー試験例
用途候補電池周辺の遮炎シート・隔壁、保管・運搬容器の内張り、熱遮蔽部材
加熱面
裏面
動画経過 0.0 秒
4倍速で2本の動画を一緒に操作できます。
4倍速では約20秒で視聴できます。通常速度にも切り替え可能。時間表示は元動画の経過時間です。同時再生は各動画の先頭を基準とします。
光透過性 × 弾性率 × 破壊靭性

光を通し、剛性と割れにくさを両立する構造材料

天然鉱物/PC系で、光透過性と高い弾性率を確認。破壊靭性評価では、亀裂がジグザグに進展する様子を観察しています。荷重を支える剛性と、亀裂の進展に抵抗する靭性の両立を評価しています。

弾性率40 GPa・急激な脆性破断なし板厚2 mmの評価例。資料中のPC単体に対して弾性率は約17倍

評価方法破壊靭性は、ASTM D5045のSENB(Single-edge-notch bending:片側切欠き曲げ)法を参考に評価しました。

用途候補採光パネル、間仕切り、家具・意匠部材
弾性率と破壊靭性の比較(参考図)
黒瀬作成の弾性率と破壊靭性の比較図 横軸は弾性率、単位GPa。縦軸は破壊靭性、単位MPa・平方根メートル。PC、PMMA、FRP、無機ガラスと、本研究の材料の位置づけを示す提供図。材料や評価条件が異なる参考比較であり、光透過率を数値軸では表していない。
黒瀬作成。材料や評価条件の異なる比較材料と、本研究の評価例の位置づけを示す参考図。

比較材料の破壊靭性の範囲・位置づけの参考:Amini et al., Science 373, 1229–1234 (2021), Fig. 5。弾性率および本研究の評価値は、同論文からの引用ではありません。

光透過性の実証
天然鉱物とPCの複合材料。指の影を通して光透過性が分かる試験片
光を拡散して通す複合材料
破壊靭性の評価
破壊靭性評価後の試験片。切欠き先端から亀裂がジグザグに進展する様子
亀裂がジグザグに進展する様子
軽量・高剛性 × 振動減衰

振動を抑える構造部材へ

アルミ合金と複合材料の振動減衰波形。複合材料の振幅はより早く減少する

軽く、剛性を確保しながら振動を減衰させる。板厚2 mmの片持ち梁による自由振動試験で、構造部材としての可能性を評価しています。

減衰比 約1.8倍 /アルミ合金比
指標複合材料アルミ合金
固有振動数比剛性に関係44 Hz39 Hz
減衰比振動の減りやすさ4.6 × 10−32.6 × 10−3
用途候補振動板、精密機械フレーム、ロボット部材
板状粒子の配向 × ガスバリア性

ガスを通しにくい部材へ

板状粒子が面内に配向した複合材料の断面SEM像。スケール100マイクロメートル

配向した板状粒子が透過経路を長くする構造を利用し、酸素透過を評価。

酸素透過係数 約1/400 /樹脂単体比

評価方法・比較の前提ガス・水蒸気透過率測定装置(GTRテック株式会社製 GTR-20XAG)を使用し、室温下、差圧法で酸素透過を測定しました。約1/400は、樹脂単体を比較対象とした代表試料の評価例です。

用途候補容器ライナー、ガス遮蔽シート

各特性は、異なる母材・配合・試験条件で得られた研究室内の実証例です。必要な機能の組み合わせは、用途に合わせて材料を選び、試作・評価を通じて検討します。

APPLICATION POSSIBILITIES

材料特性から用途を考え、試作・評価で確かめる。

得られた材料特性をもとに用途の仮説を立て、試作・評価を通じて適用の可能性を検証しています。

用途候補・構想
材料特性用途候補製品で期待する効果
耐熱性、薄型、均熱性、電気絶縁性、剛性面状発熱体基材、機器の温調部材薄い基材を用いた均一な加熱
火炎の遮蔽、耐熱性、断熱性、成形性電池周辺の隔壁、容器内張り、耐熱・断熱板火炎や熱の影響を抑える
軽量・高剛性、寸法精度、成形性自動車内外装、無人航空機カウル、搬送・収納部材軽量化と部品形状の両立
比剛性、振動減衰、寸法安定性振動板、精密機械フレーム、ロボット部材剛性を保ちながら振動を抑える
光透過性、弾性率、破壊靭性採光パネル、間仕切り、家具光を通す部材の剛性・破壊靭性の両立
対象ガスへのバリア性、変形への追従性容器ライナー、バリアシートガスの透過を抑える

掲載例以外の用途への適用についても、ご相談ください。

COLLABORATION

この技術を、自社の製品に活かせるか。

「自社製品に適用できるか確かめたい」「この特性を活かした部材を試作してみたい」といったご関心がありましたら、お問い合わせください。材料特性と想定する用途・条件を照らし合わせ、適用の可能性を一緒に考えます。

試作のご要望については、目的や条件を伺い、実施可能な内容を検討します。

掲載している用途以外の着想や、具体的な仕様が決まる前のご相談も歓迎します。