研究内容
次世代モビリティなどへの適用を目指した、(1)環境にやさしい軽量高分子複合材料などの新素材の開発、(2)軽量複合材料を用いた構造体の設計と評価、を行っています。
(1)環境にやさしい新素材の開発
貝殻の真珠層構造(図1-1)に着想を得て、天然鉱物を強化材料とした環境にやさしい複合材料の研究を行ってます。貝殻の真珠層は、配向した板状の粒子が高充填した構造をしています。
複合材料と言えば、カーボン素材などの図1-2(a)に示すようなFRP(繊維強化複合材料)が主流ですが、研究室では図1-2(b)に示すような天然鉱物を原料とした板状粒子で強化される新しいコンセプトの複合材料の研究を行ってます。
これまでに図1-3(a)のように貝殻真珠層を模倣した複合材料の作製に成功し、図3(b)のようにアルミニウム合金よりも軽量で力学特性に優れていることが確認されました。実用化を目指した検討を進めてます。
(2)軽量複合材料を用いた構造体の設計と評価
これまでに黒瀬研究室で設計、試作、評価した構造体の幾つかを紹介します。卒業研究では学生自身が構造体を設計し、試作、評価を主導します。 設計では大学で学ぶ材料力学学や構造力学、3次元CADやシミュレーションなどを活用します。
図2-1(a)は、鳥人間コンテストの滑空機の主翼への適用を目指したCFRP桁です(長さ1.5m)。(b)のように桁構造に空気力を想定した曲げ荷重を加えるための適切な治具を設計・試作し、(c)のように桁の力学評価を行いました。
図2-2は、FRP製の紳士ベルトです。非金属性なので空港の手荷物検査場でわざわざベルトを外さなくても良い製品を目指してます。CFRPやGFRPを用いた部材から切削加工により部品を試作し、力学評価を行いました。
図2-3は、小嶋工業(株)様が開発中のリサイクルCF(炭素繊維)を用いたCFRP工具です。本年度、解析を中心に取り組み中です。